機器治療の推奨度
日本皮膚科学会・日本形成外科学会・日本美容皮膚科学会・日本美容外科学会(JSAPS・JSAS)が作成した「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」は、シワ・タルミに使われる機器治療とスレッドリフト(糸リフト)について、次の推奨度を示しています。
推奨度1は「治療を希望する患者には、行うことを強く推奨する」、推奨度2は「治療を希望する患者には、行うことを弱く推奨する」という意味です。「行わないことを強く推奨する」とされた治療もあります。推奨度は学会が論文の質と量をもとに示した目安で、個人に効果が出ることを保証するものではありません。
| CQ | 治療 | 推奨度 | 推奨文(要約) |
|---|---|---|---|
| 2-1-1 | フラクショナルレーザー(FLSR) | 2 | 効果は外科手術や注入剤に及ばないが、瘢痕形成はまれで体内に異物を残さないため、非外科的な改善を望む人の選択肢の一つ |
| 2-1-2 | 高周波(RF) | 2 | 同上(効果は外科手術や注入剤に及ばない。瘢痕形成はまれで異物を残さない) |
| 2-1-3 | 高密度焦点式超音波(HIFU) | 2 | 効果は外科手術や注入剤に及ばないが、瘢痕形成はまれで合併症の危険性が低く、タルミ治療の選択肢の一つ |
| 2-6 | スレッドリフト | 2 | 一時的な改善が期待できる。効果が大きくなく持続期間が短いことを十分に説明したうえで行う |
どれも推奨度2で、指針は「外科手術や注入剤を用いた治療に及ばない」と効果の大きさに限りがあることを明記しています。
安全性と承認状況
指針は、治療ごとに安全性と国内の承認状況もまとめています。承認状況は指針(令和3年度改訂版)の時点の記載で、その後変わっている場合があります。
| 治療 | 指針が挙げる副作用・注意点 | 承認状況(指針の記載) |
|---|---|---|
| フラクショナルレーザー | 色素沈着、熱傷、瘢痕形成 | 炭酸ガスレーザー本体は承認品が多いが、フラクショナル照射のアタッチメントで承認されているのは1種類のみ |
| 高周波(RF) | 比較的安全だが、熱傷、瘢痕形成 | 医療機器として承認されているのは1種類のみ |
| HIFU | 瘢痕形成、神経麻痺など。十分な注意が必要 | すべて国内未承認 |
| スレッドリフト | 合併症は軽微なものが多い。非吸収性の糸で合併症の報告が多い | 承認品はなく、未承認品のみ |
未承認の機器や材料を使う治療は、医師の判断で自由診療として行われます。どの機器を使うのか、国内で承認されたものか、副作用が起きたときの対応はどうなるかを、契約前に医師に確かめてください。
スレッドリフトの効果の持続
指針の解説は、スレッドリフトを有効とする報告は多いものの、ほとんどが6か月以内の短期の結果で、長期の観察では6か月後に効果が弱まり、12か月後にはほとんど失われるとする報告があると紹介しています。そのうえで、現時点では有効性も持続性も限定的と結論づけています。
HIFUはエステでは受けられない
消費者安全調査委員会は2023年3月29日、エステサロン等でのHIFUによる事故の調査報告書をまとめ、急性白内障や神経麻痺などの被害事例が相当数あると報告しました。これを受けて厚生労働省は2024年6月7日の通知(医政医発0607第1号)で、用いる機器が医療用かどうかを問わず、HIFUを人体に照射して熱凝固を起こさせ得る行為(顔・体の引き締めやシワ改善を目的とするものを含む)は、医師免許のない者が業として行えば医師法17条違反になるとの見解を示しました。医師による施術も、医療提供施設で行うこととされています。
国民生活センターも2017年3月に、エステサロン等でのHIFU施術で熱傷や神経損傷を負ったという相談を公表しています。医療とエステの線引きは美容医療とエステの違いにまとめています。
施術前に確認すること
- どの機器・糸を使うか、国内で承認されたものか
- 期待できる変化の程度と持続期間(指針は外科手術や注入剤には及ばないとしている)
- 熱傷・神経麻痺・瘢痕などの副作用と、起きたときの診療体制
- 回数・費用の総額と、途中でやめる場合の扱い
腫れや赤みが引くまでの期間の聞き方は美容医療のダウンタイムの確認、契約の注意点は美容医療の契約前に確認する5つのことを参考にしてください。注射でシワを目立たなくする治療はシワの注入治療で整理しています。
よくある質問
HIFU(ハイフ)はたるみに効果がありますか?
美容医療診療指針(令和3年度改訂版)はHIFUを推奨度2(治療を希望する患者には、行うことを弱く推奨する)としています。効果は外科手術や注入剤を用いた治療に及ばないものの、瘢痕形成はまれで合併症の危険性が低く、タルミ治療の選択肢の一つとされています。
エステサロンでHIFUを受けてもよいですか?
厚生労働省は2024年6月7日の通知で、機器が医療用かどうかを問わず、医師免許のない者がHIFUを業として行えば医師法17条違反になるとの見解を示しています。消費者安全調査委員会の報告書でも、エステサロン等でのHIFUによる急性白内障や神経麻痺などの被害が報告されています。
糸リフト(スレッドリフト)の効果はどれくらい続きますか?
指針の解説では、ほとんどの研究が6か月以内の短期の結果で、長期の観察では6か月後に効果が弱まり、12か月後にはほとんど失われるとする報告が紹介されています。指針は効果が大きくなく持続期間が短いことを十分説明したうえで行うよう求めています。
出典・参考(公的機関)
- 日本皮膚科学会ほか 美容医療診療指針(令和3年度改訂版)(PDF)
- 厚生労働省 医師免許を有しない者が行った高密度焦点式超音波を用いた施術について(令和6年6月7日 医政医発0607第1号、千葉県掲載)(PDF)
- 消費者庁 消費者安全調査委員会 エステサロン等でのHIFU(ハイフ)による事故
- 国民生活センター エステサロン等でのHIFU機器による施術でトラブル発生!(2017年3月2日)
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- 本ページは公的機関が公表している情報にもとづく一般的な情報提供であり、特定の医療機関・施術・商品を推奨するものではありません。
- 効果には個人差があり、本ページは治療の効果を保証するものではありません。施術の適否は必ず医師にご相談ください。
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