PRP療法とは
PRP(多血小板血漿)療法は、自分の血液を採って遠心分離し、血小板を多く含む部分を取り出して肌に注入する治療です。美容医療では顔のシワ・タルミや肌の質感の改善を目的に行われています。日本皮膚科学会など5学会の「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」は、顔面のシワ・タルミへのPRP療法をCQ2-5-1・2-5-2で取り上げています。
診療指針の推奨度
| CQ | 治療 | 推奨度 | 推奨文・承認状況(要約) |
|---|---|---|---|
| 2-5-1 | PRP単独療法 | 2(治療を希望する患者には、行うことを弱く推奨(提案)する) | シワに有効性ありと判断できるエビデンスのある論文が多い。血管内への誤注入を避ける注意が必要。承認状況は未承認で、再生医療等安全性確保法の第三種の届け出を要する |
| 2-5-2 | bFGF(トラフェルミン)を添加したPRP | 2(行わないことを弱く推奨(提案)する) | 安易には勧められない。注入部の硬結や膨隆などの合併症の報告が多く、bFGFの注入投与は適正使用とは言えない。承認状況は未承認(適応外使用) |
推奨度は学会が論文の質と量をもとに示した目安で、個人に効果が出ることを保証するものではありません。
効果について指針が書いていること
指針の解説は、PRPの作り方(遠心分離の回数や市販キットの違い)や注入回数が報告ごとにばらばらで、国内ではランダム化比較試験が行われておらず、有効性の評価は明確ではないとしています。欧米や国内の報告でも、顔のシワとタルミへの効果はいずれも50%未満とするものがほとんどで、信頼性の高いランダム化比較試験(左右の顔で比べる試験)では生理食塩水より有意に優れた結果は得られなかったと紹介しています。一方で、質感や下まぶたの色調・シワが改善したとの報告が見られるとも書いています。
指針はこれらをまとめて、PRP単独療法は「治療効果は弱いものの比較的安全性が高い」治療で、合併症についての説明と同意が必要だとしています。
副作用と注意点
- 一時的な副作用として、発赤、むくみ、熱感、痛み、圧痛、皮下出血、皮むけ、乾燥感などが報告されている。国内の報告では、皮下出血が消えるまで1〜2週間かかることがあるとされる
- 2017年に海外で、資格のない施術者が眉間に注射した後に視力を失った1例が報告されている。指針は、専門の医師が行っても血管内に誤って注入されれば皮膚壊死や目の動脈の閉塞が起こり得るとして、眉間や額への注入に注意が必要としている
- bFGFを添加したPRPは、しこり(硬結)やふくらみ(膨隆)の合併症の報告が多く、指針は行わないことを弱く推奨している
カウンセリングで「成長因子入り」「ふくらみが長持ちする」と説明された場合は、何を添加するのかを確かめてください。注射によるシワ治療全体の推奨度はシワの注入治療で比較しています。
再生医療等安全性確保法の届出を確かめる
指針は、PRP単独療法に再生医療等安全性確保法の第三種の届け出が必要としています。厚生労働省によると、この法律は再生医療等の提供開始までの手続きなどのルールを定めており、手続きをせずに再生医療等を提供すれば法律違反となり罰則が適用されます。医療機関は、認定再生医療等委員会の審査を経た再生医療等提供計画を、オンライン手続サイト「e-再生医療」から提出します。
受ける側は、次の点を確かめられます。
- 厚生労働省の再生医療のページに掲載されている「再生医療等提供機関の一覧」に、その医療機関が載っているか
- 説明文書に、再生医療等提供計画の提出や、審査した認定再生医療等委員会の名前が書かれているか
- 法令違反が疑われる事例は、厚生労働省が2026年9月に開設した再生医療等情報提供・通報窓口に情報提供できる
施術前に確認すること
- 再生医療等提供計画を提出している医療機関か
- PRPに何かを添加するか(bFGFなど)
- 期待できる変化の程度と、繰り返す場合の回数・費用
- 皮下出血などが出た場合の経過と、血管内への誤注入が起きた場合の対応
契約前の確認は美容医療の契約前に確認する5つのこと、注射を使わないたるみ治療はたるみ治療の種類を参考にしてください。
よくある質問
PRP療法はシワに効果がありますか?
美容医療診療指針(令和3年度改訂版)は、顔のシワ・タルミへのPRP単独療法を推奨度2(治療を希望する患者には、行うことを弱く推奨(提案)する)としています。解説では、効果を50%未満とする報告がほとんどで、生理食塩水と比べた試験で有意な差が出なかったものもあるとされ、「治療効果は弱いものの比較的安全性が高い」とまとめられています。
成長因子(bFGF)入りのPRPは受けても大丈夫ですか?
指針は、bFGF(トラフェルミン)を添加したPRPを「行わないことを弱く推奨(提案)する」としています。注入部の硬結や膨隆などの合併症の報告が多く、bFGFの注入投与は適正使用とは言えないためです。
PRP療法を行うクリニックが届出をしているか確かめられますか?
PRP療法は再生医療等安全性確保法の第三種にあたり、医療機関は再生医療等提供計画を提出する必要があります。厚生労働省の再生医療のページに「再生医療等提供機関の一覧」が掲載されています。
出典・参考(公的機関)
- 日本皮膚科学会ほか 美容医療診療指針(令和3年度改訂版)(PDF)
- 厚生労働省 再生医療について(再生医療等安全性確保法・再生医療等提供機関の一覧)
- 厚生労働省 e-再生医療(再生医療等の各種申請等のオンライン手続サイト)
ご利用にあたって
- 本ページは公的機関が公表している情報にもとづく一般的な情報提供であり、特定の医療機関・施術・商品を推奨するものではありません。
- 効果には個人差があり、本ページは治療の効果を保証するものではありません。施術の適否は必ず医師にご相談ください。
- 制度の内容や件数は公表時点のものです。最新の情報は出典元でご確認ください。