「シミ」は一つの病名ではない

日本皮膚科学会など5学会が作成した「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」は、シミを一般的な用語とし、医学用語では後天性のメラニン色素沈着症を指すとしています。日光黒子(老人性色素斑)、肝斑、雀卵斑(そばかす)、真皮メラノサイトーシス(両側性遅発性太田母斑)、炎症後色素沈着症などがあり、混在することも多いと説明されています。

種類指針の説明(要約)
日光黒子(老人性色素斑)主に40歳以上で、顔・手の甲・前腕など日光に当たる部分に加齢とともに出る褐色〜やや黒色の色素斑。最も多く見られるシミ
肝斑主に両頬に左右対称に出る。紫外線と女性ホルモンが主な悪化因子で、良くなったり悪くなったりを繰り返す難治性の色素異常症
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)肝斑との見分けが難しいとされる色素斑

どの種類かで向いている治療が変わり、日光黒子では悪性腫瘍との区別が最も問題になるとされています。治療の前に、皮膚科で診断を受けることが出発点です。

治療と推奨度の一覧

指針は、治療ごとに推奨度を示しています。推奨度1は「治療を希望する患者には、強く推奨する」、推奨度2は「条件によっては、行うことを弱く提案する」という意味です。

CQ対象治療推奨度推奨文(要約)
1-1-1日光黒子(老人性色素斑)レーザー・光治療(IPL)1有効。ただし長期の検討や他の治療法との比較は十分ではない
1-1-2肝斑レーザー・光治療(IPL)2遮光、美白剤の外用や内服などの保存的治療で十分な効果が得られない場合に、併用療法として行ってもよい
1-2後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)レーザー治療1有効

肝斑はまず遮光と保存的治療

指針は、肝斑の対処では遮光が必須で、その指導が最も重要だとしています。そのうえで美白剤などの外用・内服が行われ、メタ解析でトラネキサム酸が肝斑の治療に有効と報告されていることにも触れています。

一方、日光黒子の治療に広く使われる高フルエンス(高出力)のQスイッチルビーレーザーやQスイッチアレキサンドライトレーザーは、強い炎症を起こして肝斑を悪化させることが知られている、と書かれています。低フルエンスのQスイッチNd:YAGレーザーについては、国内で有効性の報告がある一方、脱色素斑(色が抜ける)の副作用も報告されており、慎重な対応が必要とされています。レーザーは肝斑を根治させる治療ではなく再燃が多い、というメタ解析の結論も紹介されています。

肝斑とほかのシミが混在している場合もあるため、照射の方法は診断を受けたうえで医師と相談してください。施術前に確認する項目は美容医療のダウンタイムの確認項目にまとめています。

治療を受ける前に

シミのレーザー治療の多くは自由診療です。費用・回数・リスクの説明を医師から受け、契約の条件を確かめてから決めます(美容医療の契約前に確認する5つのこと)。日焼け後のケアや日常の紫外線対策は室内でも日焼け止めは要るのかでも扱っています。

よくある質問

肝斑にレーザーは使えますか?

美容医療診療指針(令和3年度改訂版)では、肝斑へのレーザーやIPLは推奨度2(条件によっては弱く提案)です。遮光、美白剤の外用や内服などの保存的治療で十分な効果が得られない場合に、併用療法として行ってもよいとされています。高出力のQスイッチレーザーでは肝斑が悪化することが知られているとも書かれています。

老人性色素斑(日光黒子)のレーザー治療は推奨されていますか?

同指針は、日光黒子へのレーザー・光治療(IPL)を推奨度1(治療を希望する患者には強く推奨)としています。ただし、長期にわたる検討や他の治療法との比較は十分ではないとも記載されています。

自分のシミがどの種類かはどう分かりますか?

見た目だけでの区別は難しく、指針も肝斑とADMの鑑別が難しいことや、日光黒子では悪性腫瘍との鑑別が最も問題になることを挙げています。皮膚科で診断を受けてから治療法を決めてください。

出典・参考(公的機関)

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