診療指針の推奨度
美容医療診療指針(令和3年度改訂版)は、顔や首にできる皮膚の良性小腫瘍(ホクロ=母斑細胞母斑、イボ=脂漏性角化症、表皮母斑)へのレーザー機器による蒸散治療を、推奨度2(治療を希望する患者には、行うことを弱く推奨する)としています。
推奨文は、整容的な観点から切除を受け入れにくい人などには蒸散治療は有効としたうえで、次の理由から「弱く推奨」にとどめています。
- 治療後の長期の経過観察や再発、ほかの治療法との比較が十分ではない
- 小腫瘍の中に皮膚の悪性腫瘍が含まれている可能性があり、術前に十分説明する必要がある
- 肉眼やダーモスコピーで良性と診断できるものに限られる
委員10人のうち7人は推奨度1としましたが、レーザー治療を強く推奨できないものが含まれることを考えて推奨度2にしたと記されています。
レーザーの前に診断が要る理由
指針は、ホクロ・イボに見える小腫瘍の中に皮膚の悪性腫瘍が含まれている可能性を術前に十分説明する必要があるとし、レーザー蒸散の対象を肉眼やダーモスコピーで良性と診断できるものに限っています。気になるホクロやイボは、まず皮膚科でダーモスコピーなどの診察を受け、良性かどうかを確かめてから治療方法を選びます。
ホクロとイボで違う治療の考え方
| 対象 | 指針の解説で紹介されている内容(要約) |
|---|---|
| ホクロ(母斑細胞母斑) | CO2(炭酸ガス)レーザーで476病変中438病変(92%)が excellent とした国内報告など。系統的レビューでは、蒸散できるレーザーで色素除去率75%以上が60%、色素の再発が21.7% |
| イボ(脂漏性角化症) | 液体窒素が第一選択の治療法。手早く除去する方法としてCO2レーザーもしばしば選ばれる |
| 表皮母斑 | CO2レーザー・Er:YAGレーザーで改善の報告。Er:YAGで再発30%、CO2で再発なしとした比較試験がある |
メラニン色素用のQスイッチレーザー単独では、厚みや深さのあるホクロには深部まで届きにくく、成績は低くなると予想されるとも解説されています。
副作用と承認状況
指針は、安全性は比較的高いものの、機器の扱いに習熟が必要で、色素沈着、熱傷、瘢痕形成などの副作用に注意が要るとしています。これらのリスクは東洋人では論文より頻度が高くなる可能性があるとも記しています。
承認状況は、炭酸ガスレーザーの本体は国内承認が取れているものが多い一方、アクセサリーやスキャナーが未承認のこともあり、Er:YAGレーザーは指針の時点で国内未承認とされています。国内承認の機器を使っても、美容目的の場合は保険適用外の自由診療になります。
受診前に確認すること
- 良性かどうかの診断をどう行うか(ダーモスコピーの有無、必要なら切除して病理検査をするか)
- レーザーか切除か、それぞれの傷あと・再発の可能性
- 色素沈着が出た場合の経過と対応
- 保険診療か自由診療か、費用の総額
治療後の赤みや色素沈着が落ち着くまでの期間の聞き方は美容医療のダウンタイムの確認に、シミの治療はシミ取りの治療と肝斑にまとめています。
よくある質問
ほくろはレーザーで取れますか?
美容医療診療指針(令和3年度改訂版)は、顔・首の良性のホクロ・イボへのレーザー蒸散治療を推奨度2(治療を希望する患者には、行うことを弱く推奨する)とし、切除を受け入れにくい人などには有効としています。ただし肉眼やダーモスコピーで良性と診断できるものに限られます。
ほくろのレーザー除去は保険が使えますか?
指針は、国内承認の機器を使っても美容目的の場合は保険適用外の自由診療になるとしています。病気の診断や治療として必要な場合の扱いは、受診先で確認してください。
イボの治療は液体窒素とレーザーのどちらがよいですか?
指針の解説では、脂漏性角化症(いわゆる老人性のイボ)は液体窒素が第一選択の治療法とされ、手早く除去する方法としてCO2レーザーもしばしば選ばれるとされています。どちらが合うかは医師の診断で決まります。
出典・参考(公的機関)
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