ケミカルピーリングとは

ケミカルピーリングは、酸などの薬剤を皮膚に塗って角層や表皮の一部をはがし、その後に皮膚が再生する働き(創傷治癒)を利用する施術です。日本皮膚科学会の「ケミカルピーリングガイドライン(改訂第3版)」は、ニキビ(ざ瘡)、色素異常、光老化による症状の治療や、しみ・くすみ・質感の改善を目的としていると説明しています。

同じガイドラインは、厚生省(当時)が平成12年に、ケミカルピーリングを業として行えば医業に当たると示したこと(医事第59号)を紹介し、皮膚科専門医か同等の技術・知識を持つ医師の十分な管理下で行うべきだとしています。エステとの違いは美容医療とエステの違いにまとめています。

使われる主な薬剤

薬剤ガイドラインの記載(要約)
グリコール酸最も使用頻度が多い。顔ではpH3以上・濃度10%以下ならほとんど反応がないとの報告がある一方、高濃度(30%以上)・低pH(2以下)では浮腫、びらん、かさぶたの危険が高くなる
サリチル酸(エタノール基剤)自家調整しやすいが、皮脂腺から血中に吸収されてサリチル酸中毒の危険がある
サリチル酸(マクロゴール基剤)マクロゴールとの親和性が高く、エタノール基剤とは性質が異なる
トリクロロ酢酸(TCA)など剝離が深いレベルで使われ、副作用への十分な説明が必要とされる

ガイドラインは、同じ試薬・濃度でも自家製剤と調合製剤で反応が大きく異なることがある点も注意しています。

症状別の推奨度

ケミカルピーリングガイドライン(改訂第3版)は、推奨度をA(強く勧める)からD(行わないよう勧める)までで示しています。ニキビについては、より新しい「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」があるので、そちらの推奨度を載せます。

症状薬剤推奨度出典
ニキビの面皰(白・黒ニキビ)グリコール酸/サリチル酸マクロゴールC1(標準治療が無効か実施できない場合に選択肢の一つ)痤瘡GL2023 CQ24
ニキビの炎症性皮疹(赤ニキビ)グリコール酸/サリチル酸マクロゴールC1(同上)痤瘡GL2023 CQ16
ニキビ跡の萎縮性瘢痕(へこみ)トリクロロ酢酸・高濃度グリコール酸C2(行ってもよいが推奨はしない)痤瘡GL2023 CQ33
日光黒子(小斑型)グリコール酸/サリチル酸マクロゴールC1ピーリングGL 表4
肝斑グリコール酸・乳酸・トリクロロ酢酸などC2(十分な根拠がなく現時点では推奨できない)ピーリングGL 表4
雀卵斑(そばかす)・炎症後色素沈着グリコール酸C2ピーリングGL 表4
小じわグリコール酸/サリチル酸マクロゴールC1ピーリングGL 表4

C1は「良質な根拠は少ないが、選択肢の一つとして推奨する」、C2は「十分な根拠がないので、現時点では推奨できない」という意味です。痤瘡ガイドライン2023は、ニキビへのケミカルピーリングについて、いずれも保険適用外であることに配慮する必要があるとしています。ピーリングガイドラインは2008年の改訂第3版で、欧米の報告を参考にした推奨度には#印が付いています。

ニキビ治療の基本は、ガイドラインで強く推奨されている外用薬などの標準治療です。ニキビ跡の治療全体はニキビ跡の治療法、しみと肝斑のレーザー・内服を含む推奨度はシミ取りの治療と肝斑で比べられます。

受ける前に確認したい人

ガイドラインは、次の人には適応に注意が必要としています。

  • 遮光(紫外線を避けること)が十分にできない人
  • 妊娠中・授乳中の人
  • 免疫不全の状態の人や、ほかの病気で治療中の人
  • ケロイド体質の人
  • 施術部位にウイルス・細菌・真菌の感染がある人
  • 施術部位に手術や放射線治療の既往がある人
  • アダパレンを含むレチノイドを外用・内服していた人(休薬期間を考える必要がある)

施術中・施術後に起こりうること

施術中・施術後には、刺激感、むくみ(浮腫)、赤み(紅斑)、水ぶくれ(水疱)などが見られることがあり、ピーリング剤によるかぶれ(アレルギー性接触皮膚炎)や接触じんましんも挙げられています。施術後は表皮、特に角層が傷ついているため、ガイドラインは遮光について十分に説明・指導するよう求めています。

赤みや皮むけが続く期間はクリニックに具体的に確認し、仕事や予定と照らして日程を決めます。確認の手順は美容医療のダウンタイムの確認を参考にしてください。

カウンセリングで確認すること

  • 使う薬剤の名前・濃度、自家製剤か市販の製剤か
  • 自分の症状に対するガイドラインの推奨度と、ほかの治療(外用薬など)との比較
  • 保険適用外の費用、回数、間隔
  • 施術後の遮光と化粧の注意、赤みが続いたときの連絡先

よくある質問

ケミカルピーリングはニキビに効きますか?

日本皮膚科学会の尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023は、面皰と炎症性皮疹に、標準治療が無効あるいは実施できない場合のグリコール酸・サリチル酸マクロゴールによるケミカルピーリングを「選択肢の一つとして推奨する(C1)」としています。保険適用外であることに配慮する必要があるとも書いています。

ケミカルピーリングで肝斑は薄くなりますか?

ケミカルピーリングガイドライン(改訂第3版)は、肝斑へのグリコール酸・乳酸・トリクロロ酢酸などによるピーリングをC2(十分な根拠がないので、現時点では推奨できない)としています。

エステでケミカルピーリングを受けられますか?

ケミカルピーリングガイドライン(改訂第3版)は、厚生省(当時)が平成12年に、ケミカルピーリングは業として行われれば医業に該当すると示したこと(医事第59号)を紹介しています。医師の管理下で受ける施術です。

出典・参考(公的機関)

ご利用にあたって

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